2020年1月1日 ロシア・カザン ニューイヤー編後半 

ロシア
真冬のカザン大学。かのウラジーミル・レーニンの母校としても知られている。

あの新年のカウントダウン以降、同室にいるタタール女子インディラと一緒に行動することが増えた。彼女は結構ぐいぐい来るタイプで、氷の滑り台の時に限らずティータイムも強行するような感じだった。お腹いっぱいで断っても「ええー!!なんで?!」といった感じ。正直言って疲れるときはあった(ごめんなさい)。でも同じ人ととここまで共にすることは今までの旅ではあまりなかったし、これはこれで楽しんでいる自分がいた。

インディラは、タタールスタン共和国の都市に一つであるアリメチエフスク出身。歴史は浅く、どうやら石油が取れる地域があり、ロシア国内でも重要な役割を持つパイプラインがあることから「石油の街」とも言われているとか。そのため、市章のデザインも油田をモチーフにしている。

彼女は12月26日からカザンに滞在しているらしく、旅行で来ているのだとか。職業はフリーのダンサーをやっているらしい。雰囲気からなんとなくそんな感じはした。

彼女に関する簡単な説明はこんな感じかな。

街を散策しようということで、準備していると突然インディラが香水を振ってきた。「どう?いいにおいでしょ?これでおそろいね!」と彼女。本当に良い匂いだったので悪い気はしなかった。

そして彼女は続ける。「前から気になっていたんだけど、端にいるおばあさん、私苦手なんだよね。なんだか気味が悪いわ。今日の朝もこの香水を振ったらこの人こっちを睨んで窓を開けたのよ。感じ悪かったわ。あの人とは関わらない方がいいよ。」

ああ、チェックインしたときからおるあの長い白髪の老婆のことか。インディラが言うには、あの老婆は長期間このホステルに住み着いているらしく、彼女が使用するベッド周りに異常な量の荷物や物が溢れ散乱していたのもそのためだろう。まあ、欧米系のバックパッカーのベッド周りとかも大概散らかっていることが多いが、この老婆の場合はその比ではなかった。確かに、言われてみればかなり異様な雰囲気はあった。インディラが気味悪がるのも分かる。

他人の人生を推測で語ることは良くないのかもしれないが、何らかの事情で家族に追い出されてホステル暮らしをせざるを得ない状況にでもなったのだろうか。仮にそうだとすれば、この老婆に同情しそうになる。様々な人間の人生模様を知ることができるもの旅の学びの一つなのだろう。

早速外へ。この日はかなり吹雪いていた。体感温度もカウントダウンの時に比べるとずっと寒い。写真のイルミネーションはなんだかセンスが良い。

この辺もイルミネーションが至る所にあった。前にも言った通り、イルミネーションには興味が無いが、ここのデザインは良いと思う。案の定インディラが「写真撮ろうよ!」と言ってきたので、応じて写真撮影したが吹雪いている雪が顔を直撃して写真どころではなかった。なので当然、撮ってもらった写真の顔は直視できないぐらい悲惨なことになっていた。

しばらく散策し、ショッピングモールの近くまで来た。そのすぐ近くにはバーガーキングがあった。それを見たインディラは「甘いもの欲しくない?ソフトクリーム食べましょう!」といい、手を引っ張って店内へ。この彼女、お腹いっぱいでもやたらと食べ物を勧めてくる人だった。散策前にもバーガーキングで夕食したのに….

店に入って早速目に入ったのは、この支払機。ここで注文と支払いをすべて済ませることができる優れもの。支払いが終わった後に機械から出てきた番号が書かれたカードを受け取り、店員に番号を呼ばれるのを待つ。当然カード決済しか対応していない。というのも、ロシア人の大半が何らかのクレジットカードやデビットカードを所有していると言うのでこうした機器の導入はなんら不思議ではないのだろう。早く済ませられる上、人との接触も最低限で済むのでコロナ禍には最適だと思う。

こうして各国を旅すると我々の知らないところでIT面で発展している事実を突きつけられることがある。日本はかつて最先端技術の国と言われていたようだが、この状況を見るとこのことがもはや不動ではないという事実を感じざる得ない。そうこうしているうちにIT面でロシアや東南アジア等の国に追う抜かれるのも時間の問題だろう。保守的なおじさま達、「わが社(あるいは国)の技術は最先端を走っている」なんて妄言を抜かしている場合じゃないですよ。早く現実を見てください。

極寒(当時‐10度ぐらい)の中で食べるソフトクリームは至高。

メインストリートには華美なイルミネーションが光を放っていた。デザイン的に神戸(筆者の地元)のルミナリエを思い出すのはなぜだろう。

さすがにずっと外にいると体が冷えてくるので(冷えてくるというレベルではないが)ショッピングモールに入ってウィンドウショッピングをすることに。洋服店をはじめ、雑貨屋やおもちゃ屋、コスメショップなど多岐にわたるお店が軒を連ねていた。一見見るとロシアの至るところにあるごく普通のショッピングモールだ。

ここで、今朝インディラがかけてくれた香水の匂いが結構気に入ったので同じものを探そうとコスメショップに行って香水を買ったり(結局同じものは売ってなく、ベネトンのやつを購入)、洋服やリサイクルショップを見たりして楽しんだ。その中の一つであるoodjiiというファストファッションのお店では、インディラが激安ワンピース(日本円で300円ぐらい!)を一着買ってくれた。このブランド、マジで日本のG〇に劣らない値段の激安であり、価格をみた彼女が興奮気味で「見て!このTシャツ186ルーブル(250円ぐらい)よ!!すっごく安くない!?これは買いだわ!」と言い、私にも勧めてきた。彼女は何着かキープをした上で試着を始めた。着る度に「これどうかしら?」と聞いてくるインディラ。羨ましいことに、彼女はスタイルが良かったので何を着ても様になっていた。これは冗談抜きに羨ましい。自分の体形が惨めに感じてきた(かなしい)。

結局私が「一番似合っている」と言った一着を買うことにしたらしく、その色違いを私にプレゼントしてくれた。ありがとう。

ちなみに余談だが、oodjiiというブランドはロシアのサンクトペテルブルグ発祥のファストファッションブランドらしい。道理で聞いたことがないと思った。当然日本にはまだ進出していない。

インディラが休憩に夕食にしない?と提案したのでモールの上にあるフードコードで食事をすることに。夕食何回目だ。スタローヴァヤ(ロシア語で大衆食堂を意味する)があったのでそこに決め、謎のマカロニ料理とプロフ(肉が不味かった)、タタールスタン名物のスープ、トクマチを注文。3品合わせても500円いかなかったのでかなり安い。さすがコスパ最強のスタローヴァヤ。

食事しているところ、突然インディラがスマホで大音量で音楽を流し始めた。音楽もポップ調にアレンジされたタタール風の音楽だ。さすがにマズイと思い、つい慌てて「インディラ!ダメだよ!公共の場で大音量で流しちゃ!」と注意してしまったが、本人をおろか、周辺にいた人たちもさほど気にしている様子はなかった。これが日本だったら絶対怒られていたと思うが、ロシアではそうではないらしい。この辺もやっぱり文化、価値観の違いなのだろうか。確かにロシアに限らず、大音量の音楽で怒られている場面は見たことがない気がする。日本が神経質すぎるのだろうか?教えて賢い人!

とはいえ、タタール風の音楽は個人的に好きなので最終的には一緒になって聞き入ってしまったとさ。気が付けばそのアーティストの名前を聞いてしまうぐらいにドハマりしてしまった…

ショッピングモールの外にあったシャウルマ屋さん。wのマークが某世界的ファストフード店のロゴを逆にしただけだというツッコミをしてはいけない。先ほど食事したばかりなのに、インディラがまた「ここでシャウルマを食べよう」と言ってきた。結構食べるのねあなた…

さすがにお腹いっぱいだったので断ったら「えぇーー!なんで!?」と不満気なインディラ。ごめんね。お腹いっぱいは本当なんだよ….それに本音を言うと食べ物より酒が欲しいと思ってしまったよ(ドクズの極み)…

結局某マ〇ドの逆ロゴのシャウルマを食べず、我々は宿に戻ったのさ…

今日はここまで。