2019年12月29日 ロシア ペレスラヴリ・ザレスキーからアレクサンドロフへ

ロシア

この日はペレスラヴリ・ザレスキーを離れ、黄金の環の都市の一つであるアレクサンドロフへ向かう日になる。アレクサンドロフもまた、数ある黄金の環と呼ばれる都市の中でもあまり知られていない。だが、ここはオプリーチニナ体制下によるあの恐怖政治が行われていた時期に、かのイヴァン雷帝が一時期首都にして住居を構えていた都市として、ロシア史に明るい人たちの中では有名なのだ。

詳しくは後日説明するとして。私がペレスラヴリ・ザレスキーを出発したのは午前中。

バスターミナル前にあった喫茶店で朝食として食べたショボいプロフ。200円ぐらいで安かった。

ペレスラヴリ・ザレスキーからアレクサンドロフに直接行けるバスはあるかと券売所のおばちゃんに聞いたところ、「直行で行けるバスはないが、セルギエフ・ポサード行きのバスに乗り、そこからアレクサンドロフ行きの列車に乗り換えろ」とのことだった。

ただ、バスの出発までまだ1時間以上あったので、朝食をした喫茶店の前に戻る。そこに暖房みたいなやつがあったのでそこで暖を取ろうとしたところ、ユーリーと名乗る男性が話掛けてきた。「どこに行くんだい?」と聞かれたので「セルギエフ・ポサードに行った後アレクサンドロフに行きます」と回答。同時に出身国を聞かれたので日本から来た、と答えるとやはり驚かれた。やっぱりこの街の住民からするとアジア人の旅行者が珍しいのだろうか。

せっかくだから中に入って待とうか、と言い、再度喫茶店に入店した。出発時間が近づき、「そろそろ行かなきゃ」と言ったとき、彼が私の15キロ近くあるバックパックを「持つよ」と言い、持ってくれた。「ううっ、重いな!これずっと君一人で持ってたのかい?!」と驚かれた。さらに彼はバスターミナルまで車で送るよとまで言ってくれた。バスターミナルすぐ目の前なんだけどな…..

すぐ近くとはいえ、こんな重い荷物を持たせるのは大変だろうから自分の車で送ることにより少しでも負担を軽減させようという彼なりの気遣いなのだと思う。実にロシア人らしいレディーファーストぶりだ。

いざ、セルギエフ・ポサードへ。中継地だけど。所要時間は約1時間。料金は約147ルーブル(約221円)だったはず。

セルギエフ・ポサードからはアレクサンドロフはもちろん、モスクワにも行ける。

列車のホーム。雪はなかったものの冷風が強くクソ寒かった。

駅校内。

アレクサンドロフ行きは40分間隔で運行している模様。

これが今回私が乗車したアレクサンドロフ・エクスプレス。

車内はこんな感じ。混雑した感じはなかった。座席も余裕があったので隣にバックパックとサブバックも置けた。Wi-Fiはあったものの、ロシア国内専用の電話番号の登録が必要だったため残念ながら使用できず。

セルギエフ・ポサードを出発。世界遺産に登録されている至聖三者聖セルギイ大修道院を見つけながら別れを告げる。じっくり見たかったがまたの機会に。

アレクサンドロフまでは約1時間半ぐらい。安いし、まあまあ近い。

ペレスラヴリ・ザレスキーからアレクサンドロフに行こうと検討している人はとりあえず、私みたいにセルギエフ・ポサードを単なる中継地にせず観光することをオススメする。

ようやく終点アレクサンドロフに到着。

混雑する改札口。

言葉で説明するのは難しいが、ロシアの鉄道駅のホームってなんか独特な雰囲気があるんだよな。

到着後は事前に予約していた宿に向かうため、とりあえず停車しているタクシーに声を掛け、宿に向かう。

ところが、運転手は宿の場所が分からないらしく、苦戦。そして車は人気が少ない道へと進み。不安を隠せずにいた。大丈夫なんかなあ…..

そして停車した場所はこちら。まさかの僻地に宿はあったのだ。周辺に街灯はなく、わずかな民家があるぐらい。非常に寂しい場所だった。夜歩くのはやめた方がよさそうだ。ただ、中心地までの距離はそこまでなさそうだったので徒歩圏内ではあるが。

無駄に分厚く高い壁に囲まれていた。カメラ付きのインターホンを押すと勝手に扉は開いた。が、フロントまでの道は長めだった。

迎えてくれたのはスタッフと思われるが体の良いお兄さんだった。大体黄金の環の諸都市どこもそうだがここのスタッフもロシア語以外は全く話せず英語NGだった。とりあえず宿泊の手続きを済ませ、宿泊料金のカード払いの機械が管理室にあったため、入って決済をする。余談だが管理室の中は彼の強烈な体臭が充満していた。

後この宿は子猫を何匹か飼っており、至る所で猫を見かけた。部屋を案内してもらっている時も猫が室内に入ろうとしてはスタッフの男性に抱えられて追い出されていた。

猫好きには大変申し訳ないが、私自身が猫はあまり好きではないということに加え、海外では極力動物には触れない、近づかないというポリシーもあるため写真は一枚撮っていない。楽しみにしていた猫好きの方本当に申し訳ありません。

実際に宿泊した部屋。こじんまりしている感じが良い。値段も400円ぐらい。Wi-Fiも十分に通じる。

この宿、結構広かったが私以外の宿泊者は見かけず、シーンとしていてちょっと寂しい気もした。

外が暗くならないうちに周辺を散策して食事の場所を探そう。

おっ、アレクサンドル・ネフスキーじゃないか。後ろにはキリスト降誕教会(18世紀建造)がある。ネフスキーの銅像は記念碑の模様。

聖なるヴラジーミル大公、アレクサンドル・ネフスキー。

さらに進み。中心地へ。まず最初の印象だがソ連色が強い気がする。気のせい?

だいぶ暗くなってきた。腹減ってきたしレストランを探そう。

ソ連色ムンムンの薬局屋さん。そこまでソ連を主張する意味はなんなのか。

クリスマスが近いので大きなツリーがある。(ロシア(というより正教会か)ではクリスマスは1月7日。)

ソ連色ムンムン(2回目)のレストラン。入ったがこの日は全席貸し切りのため追い出された。

他にも探してみるが、中々見つからない。あったとしても敷居の高そうなところばかり。諦め、先ほどのネフスキーの記念碑がある場所に戻り、暗い夜道を歩き宿に戻ろうとしたその時だった。丁度レストランらしきお店があった。空腹も限界だったので一縷の望みをかけて入店。中も普通だったのでホッとした。もういいや、ここにしよう。

通された席は日本っぽい雰囲気のところ。日本料理屋じゃないのになぜ。

せっかくなのでペンネームにそっくりのネフスカエビールを注文。歩き疲れた体にはやっぱりビールだぜ。

無性に酸っぱいものが食べたくなったのでソリャンカを注文。シチューみたいに濃いめの味だった。

私の救世主

私の隣の席には、二人組の若い男性がいた。ウォッカでほろ酔い状態で楽しそうだなあと眺めていた。ここでは珍しいアジア人だし、話しかけてきそうだなあと思ったが案の定話しかけられた。彼らは「どこから来たんだ?一緒に乾杯しようぜ!」と声を掛けてきたのである。せっかくだし、「日本から来たよ。いいよ、一緒に飲もう。」とOKをし、一緒にウォッカを乾杯した。もう一人は飲みすぎて顔が真っ赤になっていた。

一緒にウォッカを乾杯したロシア人男性二人組。気が付けば勝手に私の帽子が被られていた。勝手に被んな。テンションMAXになった我々は勢いで、隣の部屋で開催していたパーティにいきなり(というか勝手に)参戦しはじめ、音楽に合わせて一緒にダンスをした。写真はその時のものだ。これが案外楽しかったんだな。ここまでハジケ祭りしたのはいつぶりだろう。

帰りにはそのうちの一人(彼もユーリーだった)が宿まで徒歩で送ってくれた。ありがとう。

今回行ったレストランの名刺。グースリはロシアの伝統的な弦楽器。つまりこのイラストの楽器名。

宿に戻り、シャワーを浴びる。お湯を出そうとした時、個室に猫が3匹侵入してきた。なぜこんなところに猫がいるんだと憤ったが、彼らはシャワー室に居着いていた個体らしい。エサ置いてあったし。シャワー室に猫住まわせんな。

猫は個室から離れようとしなかったので諦め、2階のシャワー室を使うことに。ここは猫はいなかったので安心してシャワーができた。ここの宿、猫好きにはたまらないがそうでもない人にとってはこの上ない鬱陶しさである。

今日はこの辺で。