2019年8月12日 フィリピン・マニラ トンド地区編後半 スモーキーマウンテンからイントラムロスをプチ散策

アジア諸国

ジョリビーで腹を膨らました後、いよいよスモーキーマウンテンへ向かう。ブライアンはジョリビーの隣に停車していたジープニー(フィリピン名物の乗り合いバス)を捕まえ、乗り込んだ。ジープニー、初体験である。

 

乗り合いバスのジープニー。形は大体一緒だが写真のようにシンプルなものから悪趣味で派手な装飾を施しているものもある。7ペソ(約15円)で乗れる。最初は少々難易度が高いが慣れると安くて便利な足となる。中は大変狭く、満席の時はギュウギュウ詰めになるため非常に暑い。この状態で渋滞に遭った時は地獄だった。スリなども多いから荷物に気をつける必要もあるようだ。

しばらく揺られること約10分、ようやく目的地であるスモーキーマウンテンがあった場所に到着した。

 

スモーキーマウンテン周辺。まだまだ続くよスラム街

 

周辺は思ってたよりゴミが散乱している箇所は多くない。ゴミが多く、スカベンジャーがゴミを漁っていたことには変わりなかったが。ブライアンについていく形で進むとようやく元スモーキーマウンテンが姿を現した。

 

これがスモーキーマウンテンの現在である。かつて大量のゴミの山を形成していた場所は嘘のように緑に覆われていた。現在は農地として活用しようとしているらしい。噂によればこの上に行けるらしいが許可書のようなものを所持しないと入れない模様。

 

この周辺には廃れた団地のような建物が集まっていた。その下にはトライシクル(フィリピンでメジャーなバイクタクシー)を停車して昼寝をする運転手のおっさんや走り回ってはしゃぐ子どもたちでいっぱいだった。

みんな元気があっていいなあと感心していた矢先、そのうちの5人ぐらいの男の子が走ってこちらに寄ってきた。「お、どうした〜?」と気軽に声をかけると彼らはこう言い放った。

「マネー!マネー!ギブミーマネー!」

どうやら彼らは物乞いだったのだ。それも隣りにいるブライアンではなく皆私にばかり集中して要求してくるのだ。やはり身なりからして外国人ということが丸わかりのようである。詰めが甘かった。

ブライアンは「絶対あげたらダメ!」と強い口調で言い、「大丈夫よ、ちゃんと心得てるから」と伝えたら「良かった、君が分かってて安心した。一度与えるとエスカレートしてくるからね」と安堵した様子だった。彼らはかなりしつこかったが、「ノーマネー!」と強く言ってなんとか振り払った。

 

しばらく散策すると、辺りは水簿らしい商店のような並びがあり、そこでもゴミを漁るスカベンジャーの姿があった。スモーキーマウンテンそのものは1995年にすでに廃止されているが、この街に蔓延るゴミ問題はまだ解決には至っていない。かつてスモーキーマウンテン周辺に住み、ゴミ集めをしていた住民も廃止以降は現在のハッピーランド周辺(前半記事参照)に追いやられた挙げ句、そこでスラムを形成してゴミを拾って生活しているらしい。ゴミ山ではなくなったが、その生活スタイルに変化はない。急速な経済発展が進んでいるにもかかわらず、この問題が長期にわたって変わらず続いているのはかなり深刻であり、異常である。現在のドゥテルテ大統領はこの現状をどう考えているのだろうか。

先程の物乞いの絡みもあり、ブライアンはもうここ出ようかと言い、スモーキーマウンテンを後にした。そしてしばらく周辺を散歩した。川沿いが近づくと衝撃な光景が目に飛び込んだ。

ここにもスラムがびっしりと形成されていた。その下には大量のゴミが固まって浮いていた。凄まじい光景だ…とても人間が住む家とは思えないようなかなり簡易的な造りであることは見て取れる。ブライアン曰く、ここの住居の殆どは違法に建てられたバラック小屋だという。より豊かな生活と職を求めて移住してきた地方の人々が次々と建設し、気がつけば大規模な水上スラムが完成したのだそう。

野球場のような場所もあった。そこで草野球を楽しんでいる人たちもいた。

トンドの中心に戻った後に見たトンド大聖堂。かなりシンプルな外観。

ブライアンが、「これからどうする?どこか行きたいところある?」と尋ねてきたので、まだトンド周辺を見たかった私は、「ハッピーランドに戻ってその奥に行くことってできる?」と聞いた。「別にいいけど、さらに奥の方に行くとなると役所に行って許可書をもらわないといけないけど大丈夫?」とブライアン。私は「大丈夫、聞いてみよう」と伝え、ハッピーランドに戻る為にイントラムロス近くの役所へ向かった。

ここで、カラオケの話になった。トンドのハッピーランド近くのスラム街でカラオケの音源が流れてたという話をしたら、ブライアンは「フィリピン人は歌が大好きだからね。僕もよく歌うよ。特に日本のアニメソングは大好き。ドラゴンボールとか、ポケモンとか!」と言い、「DAN DAN心惹かれてく」を日本語で歌ってくれた。フィリピン人がカラオケ好きなのは前の記事でも伝えた通りだが、その文化はここトンドでも健在だった。

役所らしき場所に到着すると、ブライアンが真っ先に中に入ろうとした。ところがどっこい、役所は閉まっていた。どうやらこの日は休みだったらしく諦めることにした。その代わりディビソリア・マーケットとマニラの主要観光地であるイントラムロスを一緒に散策することにした。

今回利用したトライシクルのデカい版。

トライシクルを降りると、人でごった返す通りに到着。ここがディビソリアであり、様々なお店が軒を連ねていた。この人混みでスマホでの写真撮影はリスキーだったので写真はこれしかない。申し訳ない。青果店などの食品店から洋服屋、カバンやなど多種多様なお店があった。特にブティックにはGUCCIやルイヴィトンもどきのバッグや洋服が販売されていた。タイとミャンマーの市場で見たものと全く同じものだった。特に欲しい物もなかったので一通り見た後、次の目的地であるイントラムロスに向かうためにジープニーを探す。その時、露店で販売されいていたココナッツジュースをブライアンに勧められたが、日光が直接当たった状態で売られていたので断った。

ようやくイントラムロス行きのジープニーを発見し、乗り込んで向かう。

到着すると、先程のとは全く異なった雰囲気の通りが見えた。

マニラ大聖堂の前の銅像。この辺りになると観光客も多い。同時に物を売りつけるしつこい商人もおり、観光用に準備されたと思われる馬車も至るところに走っていた。これがまた執拗に話しかけられるんだよなあ…だから観光地は嫌なんだ…..この日はチラッとしか見てないが、マニラ大聖堂の中を見に行くことに。

入り口付近。ご存知の通り、フィリピンは国民の9割がカトリック教徒なので、当然この教会の造りもカトリック式。この時パイプオルガンの演奏が静かに流れていた。教会の中ってなんだか安心する。

品のあるステンドグラスの前に立つ十字架にかけられたイエス・キリストの像。人々が撫でたり触ったりしているからなのか、足だけ白く剥げていた。

聖ペトロの銅像。

告解室。ここで罪の告白を行い、懺悔をする。

マニラ大聖堂。

朝早くから動き回ったのと緊張しっぱなしというのもあり、ここに来て急に疲れがどっと来た。ブライアンに「もうそろそろマカティ(宿泊先が近い)に戻るよ」といったらタクシーを呼んでくれた。タクシー到着後、ここでブライアンとお別れをし、イントラムロスを後にした。突然来た意味不明な日本人のために一日付き合ってくれてありがとう、ブライアン。

宿に戻り、なんか甘いものが欲しくなったので近くのショッピングモールに立ち寄った。入り口で手荷物検査を済まし、フードコート近くをフラフラ歩いていたら一際目立つ行列があった見に行くと、

そこはタピオカ屋だった。この時日本ではタピオカブーム真っ最中だったがここフィリピンでも一緒だった模様。他に食べたいものが思いつかなかったし、せっかくなので並んでみることに。覚えている限り20分ぐらいは並んだ気はした。かなり疲れ果てたはずなのに食べ物となると行列すら苦にならなくなる自分の体力にドン引きした。ちなみにこの「Chatime」という店は台湾で誕生したタピオカチェーン店で日本を始め世界進出をしている。

普通のミルクティーを購入。Lサイズで約220円とかなり安い。日本だったらこれと同じサイズなんか600円以上するのに。味は普通に美味しかったが氷が多いのがちょっと残念。

奥に残っているタピオカを必死に吸ってる時、宿の宿泊者である男性(以下Rさん)に話しかけられた。彼は日本とオーストラリアのハーフでかなり特徴的な髪型をしていた。彼もまた世界を旅するバックパッカーだった。その隣には3人のアイルランド人の男女がいた。「今から晩ごはん食べに行くけど一緒にどう?」と誘われたので一緒に例のショッピングモールに向かった。3階のフードコートでそれぞれ好きなものを注文。私は写真上では美味しそうなステーキのようなものを頼んだ。料理を受け取りワクワクしながらバナナの葉を開けると、

思っていたのと違うものが出てきた。なんか写真と違う….恐る恐る口にすると、独特の生臭さが口いっぱいに広がった。とてもじゃないが苦手な味だった。後で調べると、豚の血を使ったフィリピンの郷土料理らしい。名前は忘れたけど。ごめんなさい、私はちょっと無理っす….

宿に戻った後に口直しに注文したソパスという牛乳を使ったマカロニスープを食べる。ちなみに今回宿泊した宿は食事や軽食が食べられる。これが超絶美味かった。

サンミゲルのリンゴ風味。非常に飲みやすかったがビールというよりもりんごジュースを飲んでいる気分だった。この宿ビールも販売しているから最高。

食事中にこの宿で飼われている看板犬が近づいてきた。名前はスネークというらしい。

それにしてもこの周辺は蚊が非常に多い。しかもなぜか私のところにばかり寄ってきて容赦なく血を吸ってくる。この時点で10箇所近く噛まれた。こんなモテ期は望んでないぞ。宿主が持ってきてくれた蚊を焼き殺すラケットでブンブン振りまくった。このラケットはスイッチをオンにすると電流が発生するらしく蚊をキャッチするとバチっと音がして香ばしい匂いが楽しめる。

そうこうしているうちに人が集まり、突然ダーツが始まった。もちろん私も誘われたので参加することに。

飲み会兼ダーツ大会。皆ビールを片手にダーツゲームを楽しむ。急にスコールが降ろうが関係なしに続いた。私は疲れていたので1時には寝たが、4時までずっとやっていたらしい。

これでトンド編は終了。次回はイントラムロス散策の続きと会社訪問編を書いていく。

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追記

無謀にもスラム街に行った私が言える立場ではありませんが、個人での訪問は推奨しません。決して真似をしないで下さい。

もし、関心があるという旅行者はNPO法人「スモーキー・ツアーズ」などが提供しているツアーを利用することをオススメします。この法人は外国人旅行者向けにスラム街のツアーを企画しています。個人から団体まで受け入れているらしく、一日かけてスラム街を案内してくれるらしいです。その代わり写真撮影は原則禁止なのでご注意を。予約制なので利用してみたいという方は事前に検討してみては。

NPO法人「スモーキー・ツアーズ」http://www.smokeytours.com/(英語サイト) ※現在休業中