2017年3月13日 ウクライナ・キエフ三日目 ちょっとした事件が発生…? 

キエフの中心地の一部 ロシア・中東欧

キエフ滞在三日目。この首都は意外にも都会で、エネルギッシュであることが滞在して分かった。

もう一つ驚いたことは、三年前に政変によって荒廃していたとは思えないほど復興していたこと。特にその舞台になっていた独立広場も平穏を取り戻していた。キエフは思っていた以上に平和で楽しい街だった。

が、しかし。後で知ることになるのだが、キエフの一部であるデモが起きていたようだ。

ロシア系の銀行であるズベルバンクのキエフ支店が民族主義者によって占領され、破壊されるという事件が発生したようなのである。その時は近くを通らなかったのでまったく知らなかったのだが、後でそれを知ったときは唖然とした。

動画でその様子を見ることができる。しかし、それにしてもかなり強硬手段だなあ….

 

これが現場での様子。銀行の出入り口をブロック閉じてセメントで固めたり、スプレーで”RUSBANK”などの反ロシア的なスローガンを書いたりという手荒い手段を使っている。

デモを実行したこの団体は「アゾフ」という志願部隊兵であり、彼らは極めて民族主義的である。事の発端は、ズベルバンクが親ロシア派勢力が発行する証明書を容認したことがきっかけとなり、ウクライナの民族主義者たちからの強い反感を生むこととなった、という。こうした彼らの強硬手段に対し、ロシアの外務省は批判を見せている。

以上の出来事が私がキエフに滞在したときに起きたのである。でも、これ以上大きな事件に発展しなかったのは幸いである。

あとはTwitterで知ったことなのだが、ウクライナ各地に設置されているズベルバンクのATMが破壊されているらしい。何より一番困るのは何の関係のない一般の人々だと思う。

ということで、ズベルバンクの事件だけで記事を終わらせるわけにはいかないので、ここまでにしとこう。

騒動の最中、私は何をしていたかというと、キエフの中心にある博物館を呑気にブラブラしていた。こっちは平和そのものっすよ。

三日目の聖アンドレイ教会。相変わらず工事中だった。

 

今回行った博物館は「キエフの街の歴史博物館」。内容はキエフの歴史を形成から現代までを振り返るものである。

写真は撮れないので内観はお見せできないが、意外と近代的で一階では個展がやっていた。さらに驚いたのは、無料のWi-Fiが提供されていたことである。

時代はキエフ・ルーシの時代から20世紀までさかのぼることができる。キエフに関連する展示品を中心に公開されており、考古学的な史料から紙媒体まで豊富にそろっていた。各フロアごとに学芸員かどうか分からないおばちゃんがいる。

 

博物館周辺の様子。最寄りの地下鉄の駅は劇場駅。

 

旧ソ連圏によくあるビラまみれの壁。こういうのは大体求人が多い。たまに旅行会社や行方不明のペットを探してほしい的なものも。

 

実はこの日は博物館に行ったこと以外は、特に目立ったことはしていない。見学が終わった後は普通にカフェでのんびりしていた。ここで溜まっていたブログの更新やラインの返信をした。今までの旅では旅行者らしく観光地を巡ったり、常にエネルギッシュに行動することが多かった。しかし、ある程度期間が長くなるとこうした行動に飽きや疲れが出始めるというのも現実である。もちろん観光地巡りも楽しいのだが、たまには現地に溶け込んでのんびりくつろぐ旅も悪くはないのかなと最近は思っている。そしてまるでこの地に住んでいるような感覚になれは大成功(なにが)というね。そう考えながらパサパサのチーズケーキを食べて苦いコーヒーをすすっていた。

この日も夕食はちゃんと自炊をした。今度こそは前から挑戦したいと思っていた旅プロフを作ることにした。宿近くにあるスーパーで買い物をして材料を探す。「ここはウクライナだし、材料も日本と違って簡単に入手できるだろう」そう考えていたが、現実は甘かった。

プロフの定番である、クミンシードがなかったのだ。いくら探してもない。その代わりプロフの素は売っていたが、素に頼りたくないという変なこだわりが邪魔をしているせいで中々買い物が進まない。店員さんに聞いてみても答えは同じ。結局妥協して素を使って作ることにした。それ以外の材料はちゃんとあった。日本のスーパーでは滅多に売っていないインディカ米が普通に店頭に並んでいるのは大変うれしい。肉は、羊肉を使いたかったので近くのハラール(イスタンブールという名のお店)のお店で入手した。

時刻はまだ五時前だったが、中国人の二人組にキッチンを占領される前に早めに取り掛かることにした。

いつもの手順で調理を進める。宿に付いていたサラダ油があと少しでなくなりそうだったが、何とかなった。最初に羊肉と刻んだニンジンを投入して煮込む。早速独特のいい匂いがしてきた。次に玉ねぎやレーズンを入れ、次にといだお米を入れる。結構時間がかかるし、水加減が結構難しい。幸いほかにキッチンを使う人がいなかったのはよかった。二時間後に完成。しかし、お米をすべて使ったので作りすぎた感が否めない。

 

これが完成品。この素、馬鹿にしてたけど意外とおいしかった。

心配していた水加減も丁度良かったし、とりあえず成功。しかし残念だったのは羊肉。いざ食べるととても固くて超マズかった。明日の朝食の分を置いときたいところだが、保存方法が分からない。仕方ないから日本から持ってきたジップロックに入れようとしたら、近くのテーブルでPCをしていた兄ちゃんに「そんなことしなくてもタッパーあるのに」と言われ、置き場所を教えてくれた。親切にありがとう。明日の朝食の分はタッパーに入れて保存した。

夕食後、宿に戻ると新しいルームメートが入っていた。見た目はトルコ系でモダンなファッションをしていた美人だった。超エレガントでしなやかな感じ。彼女から挨拶をしてくれた。出身地を聞くと「モルドバよ」と答えた。しかし、モルドバにしてはかなりトルコ系って感じだったのでガガウズ共和国出身なのかなと思った。そこで「モルドバのどこ出身なの?」と聞いたら、「ガガウズよ」と言った。やっぱり!まさかこんなところでガガウズの人に出会うなんて夢にも思わなかった。

明日はいよいよキエフを経ち、ウクライナ東部の街スムイに向かう。