2020年1月3日〜4日、5日 ロシア・カザン最終日、モスクワ、そして帰国

ロシア

カザン最終日。この日は荷造りのために散策はほとんどしなかった。インディラと過ごす時間も残りわずかになったため、最後のティータイムを一緒に楽しんだ。あと余談だが、宿の1階にあるスーパーАшанで事前に買ってきた牛乳が誰かに飲まれていたっぽい。ホステル暮らしでは買ってきた食材が誰かに勝手に使われるor食べられるというのはよくあることなので気に止めなかったが、舌が完全に牛乳を欲していたので残念な気分にはなった。

インディラは、午後の3時ぐらいにカザンを出るとのことだった。どうやらアリメチエフスク行きのミニバスの予約ができたらしい。これから3時間半かけて帰るようだ。彼女が宿を出ていく前、なにか思い出したかのように言い、「そうそう、これプレゼント!」といって黒のふわふわの手袋をくれた。

私が手袋をつけずに外に出ていたのを心配していたらしい。その気遣いに嬉しく感じた。今も使わず大事に保管している。

3時過ぎにインディラとついにお別れ。近い未来にアリメチエフスクに再会することを約束し、彼女は宿を後にした。4日間付き合ってくれてありがとう。これで残りは私のみとなったわけだが、モスクワ行きの列車は夜行だったのでしばらく宿で時間をつぶした。

そして私も宿をチェックアウトし、カザン最後の夜(といってもまだ16時半だったが)を見納め。

大晦日から過ごしたカザン。ロシアの都市でここまで長く過ごしたのはリャザンにホームステイに行った時以来(2012年、私がまだ大学2回生の時)。

18時発のモスクワ行きの夜行列車。今回は2階建ての車両。

私のベッドは上の方だが、同室のおばちゃんが「しばらくここに座ってていいわよ。私は気にしないわ。」と言ってくれた。

18時ごろ、モスクワ行きの列車は出発。バイバイカザン。多様な文化と宗教が共存するユニークで非常に面白い町だったよ。

おまけでついてきたロシアの伝統的なお菓子プリャーニク。この日はプレミアムクペーではなかったがそれでもお菓子が配布されていた。今までお菓子なんでもらった記憶がないのだが….英語でジンジャーブレッドというらしいがこれはベリーのジャムのようなものが挟まっていた。非常に甘く、すぐに口の中が乾く。甘くない紅茶との相性はいいのかも。

またまた社内食堂でビールを決める。行きで飲んだシベリアなんちゃらという銘柄がなかったのが残念。

カザンではほとんど口にすることがなかったボルシチ。鶏肉が不味かった記憶があったのでベジタリアン向けの野菜だけの方を注文。やっぱり社内食堂はコスパは良くない。利用を考えている人がいればお財布とよく相談して。

出発から12時間。早朝の6時ぐらいだったかな。6日ぶりのモスクワ到着。まだ早朝というのもあり、カザンスキー駅の簡易カフェで休憩をしたり地下にある手荷物預かり所に行って一時的にバックパックを預かったりした。そこのスタッフの男性になぜか一目惚れをされ、インスタのアカウントの交換をお願いされたが断った。上海行の飛行機が夜だったので時間はたっぷりあった。なので一日だけモスクワを散策することに。

まずは赤の広場があるアホートヌィ・リャド駅に向かう。これが噂の地下鉄の新車かあ…旧式よりはだいぶ走行音が小さくなっていたが個人的に旧式の重厚でうるさいあの音が好きなので少し残念気持ちになった。

外に出ると少しだけ明るくなっていた。写真は新年向けに装飾されたツム(百貨店)。控えめに散りばめられ、ピカピカと光る星とプレゼント箱をイメージした赤いリボンが何とも可愛らしい。

しばらく歩いていると、ボリショイ劇場が見えてきた。5年ぶりか。その周辺もイルミネーションだらけだ。早朝にもかかわらず。記念撮影をする人がそれなりにいた。

9時を過ぎてようやく明るくなった。ここアルバート通りもこの通り。キラッキラのイルミネーションがこれでもかっというほど装飾されていた。店の多くはまだ閉まっていた。

さあ、いよいよ5年ぶりに赤の広場へ、と思ったがなんだか様子がおかしい。クレムリンの周辺にはなぜかゲート型の金属探知機が設置されており、目の前には多くの警察官がいた。閉鎖されているのは理解できたが一体どういうことだろう。

後に調べてみたら、これは今年に限った話ではないらしく、毎年新年になると入場人数と滞在時間が制限されるらしい。理由としては人が多く集まる場所でのテロ発生を防ぐためだという。テロの脅威が身近にあるロシア。特に新年は多くの人が殺到し、混雑することが予想されるのは想像に難くないし、そう考えるとこれは当然の措置なのかもしれない。5年ぶりだし、せっかくだから出発前に赤の広場を拝んでおこうと思ったが完全に盲点だった…

しばらくすると、ゲートに多くの人の列ができ始めた。そこで中国人のツアー客らしき人物が警察に入場したい旨を聞いていたみたいだが拒否された模様。外国人は無理なのかな?と思ったが、たまたまその人がダメだったという可能性は無きにしも非ずなので、ダメ元で並んでみることに。一向に動かない列。並んで30分ぐらいしてようやくゲートに到着。手荷物の確認とパスポートの提示を要求される。もちろん素直に従う。これで入場できるだろう。と思ったがところがどっこい、手荷物検査とパスポート提示に応じたにもかかわらず、「入場できません。お帰りください」と拒否されたのだ。なんでさ。貴重な30分返してくれ….(泣)

どうやら外国人は入場できないみたいらしい。なので、新年をモスクワで迎えようとしている人は、赤の広場に行けないことを念頭に置いた方がいいだろう。

入場は泣く泣く諦め、遠くで聖ヴァシーリー聖堂とクレムリンを眺めることに。もう一度見ることができるのは大変感慨深い。

一番近くでせいぜいこの辺が限界か。やっぱりここでも入り口付近は閉鎖されていた。

だだっ広い赤の広場も遠くからなら見ることができるが自分の足で行けないのが何とももどかしい。その中ではマーケットらしきものが開催されているっぽい。

赤の広場は諦めて、次はトレチャコフ美術館に行くことに。美術館なら大丈夫だろうと思ったがその考えがプリャーニクのように甘かったことを現地に着くまでは知る由もなかった。

ええうそやん….何この行列…

その行列はiPhoneの新作が発売された時のようだった。トレチャコフ美術館に何があったのか。それとも赤の広場の抽選にあぶれた人たちが殺到しているのか。

トレチャコフ美術館。5年ぶりに見学しようと思ったのに…時間が限られていたというのもあり、こちらも諦めることに….

仕方がないので大人しく教会の中を見学しとこうか….

写真撮影がOKだったので中を撮影。正教会らしく控えめな装飾にイコンというスタイルだが、絵柄的には割と新しめだった。

もう少し散策しようと思ったが、意外と時間は迫ってきていた。少しだけ時間はあったが念には念を、早めに荷物を回収し、急いでべラルースキー駅に向かった。この時荷物預かり所にはナンパしてきたスタッフはいなかった。

改めてみるとモスクワの地下鉄のホームはやっぱりゴージャスだなあ。車両は変えてもホームはこのまま残してほしいね。

アエロエクスプレスでシェレメチェボ空港へ。ロシアを去るという事実は受け入れがたいものがあったが、戻らないと会社に怒られるので致し方がない。

出発前からだが急に雪が降り始め、少しずつ積もり始めた。年末からこんな調子だよね、モスクワの雪は。

空港内にあったカプセルホテル。前はこんなものなかったぞ。1泊500ルーブル(690円)と大変安い。使ってないけど。Wi-Fiもあるし、カード決済もできるので空港泊をする方は検討してみてはいかがだろうか。

私が乗るのは19:55発の上海行き。時間が近づき、搭乗する。ようやく出発か、と思ったがこの後とんでもないことが起きた。乗客全員の搭乗が完了した途端次のアナウンスが流れた。

「機体トラブルが発生したため、今すぐ降りてください」

一瞬でざわつく機内、そして乗客は一斉に慌てて降りる準備をし始めたのである。隣の席にいた日本人親子が「何があったんだ?」とパニックになっていたので「機体トラブルらしいですよ」と教えた。余談だが、この時父親よりも子供(小学生)の方が冷静だった気がする(笑)。

航空機の入れ替えのために2時間遅延する羽目になった。そのお詫びとして各店舗で使えるドリンク交換券が配布された。これでアイリッシュパブでビールと交換できると思い込んだアホな私は嬉々と交換券を渡したが来たのはペットボトルの水だった。どうやら交換できるのは水のみだった模様。

この2時間遅れは私にとってかなり懸念があった。確保していた上海発の帰国便に乗れない可能性が高くなったことだ。定時で出発したとしてもギリギリなのにこれで遅れたらもう確実に無理であることは目に見えていた。もしこの日に帰国できなかったら会社への謝罪不可避やん….こればかりは仕方がないので、着いてから考えることにした。

電気の加減で見えづらくなっている機内の夕食。アエロフロートらしく良くも悪くもって感じの味だった。

そして朝食。ブリヌイの中はシナモン風味のリンゴだった。

上海には無事到着。予想は的中、帰国便は乗り遅れてしまった。着いた時にはすでに出発していたのだった。一瞬だけ絶望したが、ここは落ち着いて冷静になり、サービスカウンターの女性スタッフに事情を説明して代替便がないかを聞いた。すると、「はい、ありますよ。空席がないか調べますね」とのことでどうやらあったのはあったらしい。さすがは上海。関空間は毎日何便も就航してるもんね(※2020年1月時点)。調べ終わり「次の便で空席がありましたので、こちらを確保しておきますね!」とのことなので一安心。したのも束の間、「申し訳ありません、次の便の座席ですが別料金が必要になります」といい、金額を調べてもらったが衝撃の値段だった。

「合計で64800円になります」

うそやろ…しかもこれ、片道だぜ…一番高い時期だったのでタイミングも悪かった。帰国するにはこの便に乗るしか他に方法はなかったので渋々支払った。この旅の中で一番高い買い物だったかもしれないあいたたた…

幸い対応してくれた女性スタッフは感じがよく、親切だったのは救いではあるが。ニンニク臭は強烈だったが(笑)手荷物検査の入り口付近で「謝謝!」とお礼を言ったら笑顔で「気を付けてね!」と返してくれた。

何とか無事に帰国便に乗車し、次の日仕事に行けるようになった。良いのか悪いのか(笑)

代替便の機内食。中国東方航空らしきクオリティのメニューだったが結構おいしかった。真ん中上のやつはお粥だったが汁が泥水みたいで不味かった。

何とか無事に関西空港に到着。帰国したのは5日の夜だった。記憶が曖昧だが、検疫所で「中国で原因不明の肺炎が発生」という看板を見た気がする。これが後に新型コロナウイルスとして世界中で大流行を引き起こすことになろうとはこの時夢にも思わなかったのだが。そのためこのロシア旅以来、海外に行っていない。

お馴染みのスーパーマリオのキャラクター達が様々な言語で歓迎。ようやく日本に戻ってきたことを実感。

***

以上でロシア年末年始10日間の旅の旅行記はこれにて終了です。

最後までお付き合い頂きありがとうございました。

後日談。

代替便の料金について加入していた海外旅行保険の会社に問い合わせし、航空機遅延保険が適用されるかを聞いたところ、

お支払対象となる主な場合

・出発地(着陸地変更によって着陸した地を含みます。)において、搭乗する予定の航空機が、6時間以上の出発遅延、欠航、運休もしくは、搭乗予約受付業務の不備による搭乗不能、または搭乗した航空機の着陸地変更により、6時間以内に代わりの航空機を利用できない場合

・乗継地において、搭乗した航空機が遅れて(出発遅延、欠航等または着陸地変更を含みます。)、乗継を予定していた航空機に搭乗できず、乗継地への到着時刻から6時間以内に代わりの航空機を利用できない場合

航空機遅延費用 | 補償内容 | 新・海外旅行保険【off!(オフ)】 | 【公式】損保ジャパン
https://www.sompo-japan.co.jp/kinsurance/leisure/off/sche/delay/

とのことらしく、私の場合は3時間以内には代替便が確保できたので適用外とのことでした。そのため、残念ながら64800円は戻らず….

過ぎ去ったことを悔やんでも意味がないのでここは勉強代として割り切ることにしました。やっぱり安いからと言ってトランジット時間が非常に短い券は買うべきではありませんね。皆さんも航空券を購入する際はよく考えて計画的に買いましょう。

それでは。