旅もとうとう終盤を迎えた。同時に寂しさと帰りたくなさが一気に湧き上がってきて辛かった記憶がある。
そんな中、東部の街であるスームイの間街去ることになり、チェルニーヒウに向かうことにした。
宿で偶然お会いしたMさんはすでに去っていた。私も朝からバスに乗らないといけないので急いでチェックアウトをし、マクド前のバス停でバスターミナル行きを待っていた。しかし、中々来ない。どうしたものだろうか。
待ってから10分程でバスがやってきた。ようやく乗れて一安心。かと思ったのも束の間。この後、ちょっとしたトラブルが発生することになったのだ。
しばらくバスを走らせる。そろそろバスターミナルに到着するだろうと思っていたが、実はこの考えが甘かった。このバスは循環ものであり、決められたコースをぐるりと回るものだった。運ちゃんに確認したところ、バスターミナルに停車することは決まっていた。が、しかし、この時どうやらバスターミナルまで遠回りをしていたことが分かったのだ!何てこと!
チェルニーヒウ行きのバスの出発まであと20分切っている。さすがに焦った。何度も「バスターミナルにはいつ着くのですか?」と聞いても「後で止まるからちょっと待って」としか言わない。しかし、バスはのろのろ運転の上、何度も停車する。出発時間は刻一刻と迫っている。あと10分を切った!私はいよいよパニック状態になった。しかし、バスターミナルは全く見えない。どうしよう。チェルニーヒウ行きのバスは一日2本(次は夕方以降)しかないため、これを逃したらおしまいである。夕方の便に乗るのも不可能ではないが、到着が夜遅くなる。
私はこのときパニックで呼吸が荒くなる。恥ずかしいことに周囲の乗客に心配される有様である。
あと3分!もうおしまいだ…最終手段として、運ちゃんにバスのチケットを提示し、事情を話すことにした。「助けてください。私は3分後にこれに乗らないといけないのです!」と必死に訴えた。間に合えばもうどうだっていい。ひたすら必死だった。
すると、神が舞い降りた。なんと、運ちゃんは携帯を手に取り、バスターミナルのスタッフにチェルニーヒウ行きのバスの出発を待ってくれるように懇願してくれたのだ!そして、ようやくバスターミナルに到着した。運ちゃんは「ほら、着いたよ。さあ急ぐんだ!早く!」と言い、私はすぐに急いでおり、ターミナルへ走っていった。この時、必死に無我夢中に走った。バスターミナルで派手に転んでしまい、周囲から白い目で見られたがそれどころじゃなかったし、どうでもよかった。チェルニーヒウ行きのバスを発見し、ここで待っていたスタッフのおばちゃんが迎えてくれ、「お嬢ちゃん、こっちこっち!」と言ってバスの中に導いてくれた。バスターミナルに到着したのはちょうど出発時間だった。超ギリギリだった。
こうして無事にチェルニーヒウ行きのバスに乗車することができた。この時、バスの出発を懇願してくれたマルシュルートカの運ちゃんとターミナルのスタッフへの感謝の気持ちと同時にウクライナ人の優しさと温かさに触れた。世の中捨てたもんじゃない。
スームイからチェルニーヒウまでの所要時間は約7時間。10:00に出発したので到着は17時となる。超長旅である。しかもこのバス、ノンストップではなくてちょこちょこと停車するのだ。だから遅いのだ。満席になって立ち乗する人も出た。
そしてトイレ休憩に入った。空気を吸いたかったので一旦出る。
途中の停車場所。中々の田舎である。周辺にニワトリが何匹か歩いていた。店も何もなかった。
17時ごろ、長旅が終わってチェルニーヒウに到着した。
チェルニーヒウ駅。
到着後、すぐさま宿に向かうために中心地行きのマルシュルートカに乗車した。ホテルウクライナの前でおり、宿へと歩いて行った。今回宿泊した宿はHostel Papa。設備もよく、清潔感のある宿であった。スタッフのお姉さんは英語が怪しかったのでロシア語でやり取りをした。
チェックインを済まし、荷物の整理をしようとしたその時、あるものがないことに気づいた。マグネットだ!今までの旅先で購入したマグネットがないのだ。急いで宿のスタッフにスームイで宿泊したホテルに電話をしてもらい、確認したところマグネットがあったそう。ここで安心したのも束の間、スタッフは「宿にあったそうですが、ここに到着するのは夜の19時以降になります」ということ。明日の19時って….もうこの時キエフの空港にいるよ…その時、ガタイのいいロシア人の男コンビが「どうしたんだい?」と声をかけてきた。私は起きたことをそのまま話した。すると、このおっちゃんたち驚愕のひとことを言った。「じゃあ今から俺の友人に電話してここに届けてもらうように頼んでみるよ」と言い出したのだ。とんでもない!こんなマグネットごときで関係のない彼の友人を巻き込むなんて!さらに彼は「長時間の移動になるけど大丈夫だ。だが、距離は長いからガソリン代が高くなるが…」と続けた。
なんてこと。そこで方法を探るためにちょっとした会議が始まった。私は明日15時にはキエフに行かないといけないということを伝えた。彼らもさすがに困っていたし、友人の力を借りる以外の方法を言わなかった。男性は「君は一体どうしたいんだい?」と聞いてくる。悩む私。考えた結果、さすがにマグネットごときで無関係な友人の時間とお金を取るのは申し訳なかったので、結局諦めることにした。マグネット問題はこれで幕を閉じた。
少し落ち込んだ状態で、夕飯を食べることに。近くの小さなバーに行くことに。ウクライナ最後のディナーはボルシチと豚のステーキ、ビールを決めた。ボルシチをすすっている時ウェイトレスの女の子が「ボルシチどう?おいしい?」と質問して「うん、最高だよ」と伝えたら「よかった。これ自信作なの。」と嬉しそうにしてたのが可愛かった。
明日はいよいよウクライナ最終日。チェルニーヒウを散策した後にキエフに戻り、東欧大旅行は終了となる。
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