2018年8月13日 中国・丹東 中朝国境の街

アジア諸国

8月13日、ついに念願だった中朝国境の街である丹東へ出発。

※当記事は写真と内容が盛りだくさんなので時間がある方のみお読みいただいて結構です。

今回は高速列車、いわゆる中国版新幹線を利用することに。チケットは事前にネットで予約していたのでカウンターでパスポートとバウチャーを提示するだけ。(料金は2000円ぐらいだった)

と思ったら早朝にもかかわらずこの列よ。なんでアグレッシブなんだ…しかも中国語しか書いていないから全く分からん。ちなみに大連ー丹東行きの高速列車が運行しているのは大連駅ではなく、微妙に中心地から離れた大連北駅であり、宿泊していた宿からは40分近くかかった記憶がある。

駅は結構広かったが、早朝というのもあってか、なんとなく暗い印象。

カウンターは人多かったくせにここは誰もいない。

ここで乗車の手続きをするのだが、ここで待ち構えていたのが中国ではおなじみの手荷物検査。地下鉄で実施するぐらいだから大規模な駅でやるのは当然であろう。この時バックパックに入っていた剃刀が没収されそうになった。中国に来た以上、この超絶めんどくさい手荷物検査の魔の手から逃れることはできないのだ。

ホームに向かうため長蛇の列に並ぶ。この時、外国人観光客らしい人はいなかった。

ホームに到着。ほう、なかなかのクオリティではないか。

日本の新幹線と外観が似ているのは気になるが、そこは気にしないでおこう。

内観。今回は2等車を選択。やっぱり日本の新幹線をリスペクトした感はあるが、最近完成したというのもあってかなり綺麗。そして7:30、いよいよ出発。定刻通りだった。これも日本と負けていない。

道中の様子。景色は畑か田舎町か荒れ地しかなかった。バスでも列車でもそうだが、現地の景色を眺めながら移動するのって結構好きなんだよな。その地の地理だけでなく現地人の暮らしを知ることができるからそこに楽しみを見出すのも旅の醍醐味だと思っている。

所々駅に停車していたものの、わずか3時間で丹東に到着した。

到着して知ったのだが、この高速鉄道は「和谐号」というらしい。心配していた安全性も問題なく、無事に行くことができた。ありがとう和谐号。

駅から出ると、広場が見える。最初の印象としてまず驚いたのが、意外と都会だった点。この日の天気はあいにくの雨。土砂降りにならなければいいのだが、中朝国境の橋に行くときまではもってほしいと祈った。

宿は中朝国境のすぐ近くにした。国境近くで寝泊まりというエモい経験をしたかったからだ。

元々ベッドの下にあったパチモンのキティちゃんのビーサン。キティちゃんとマイメロディが合体した謎キャラが引っ付いている。

宿のベランダから。中朝国境を流れる鴨緑江をガッツリ眺めることができる。宿泊地から北朝鮮を眺める日が来るとは、感無量である。

どうでも良い話だが、ベランダまで行く時階段で前を登っていたおっさんに顔の前で盛大におならをされた。

雨が降らないうちに中朝国境の鴨緑江断橋へ向かった。街と通路は意外と綺麗で、周囲も観光地されている模様。

全く同じ形をした高層マンションが所狭しと並んでいた。そこに住んでいる住民は自分の住む家が分かるのだろうか。出窓が付いた旧共産圏と同じスタイル。

しばらく川周辺を進んでいく。するとほら、見えてきたぞ!あの橋が!足を進める度にワクワクと同時に緊張感も増していく。

橋が近づくと観光地感も増していく。と同時に人も多くなっている。とはいえ、外国人観光客らしき人は見なかった。周辺には土産話や屋台が並んでいた。一番最初に目に付いたのは、韓国と北朝鮮の民族衣装であるチマチョゴリを着て記念撮影するコーナー。結構人気らしく、現地の女の子たちが楽しそうに撮影していたのが印象的。

こちらは北朝鮮側。中国側とは対照的に貧相な印象が否めなかった。これも国間の格差なのだろうか。

クルーズ船。これに乗って国境スレスレまで行くことができるんだとか。私は行かなかったが。そしてついに….

ついに来たぞ!これが丹東の中朝国境の顔である中朝友誼橋である。この橋を利用して中朝間の貿易を行っているのだ。私の興奮も高まるばかりであった。

橋では中国からのトラックが途絶えることなく国境を通過している。

これを見て改めて自分の足で中朝国境を立っているを実感する。来てよかった。

実は中朝友誼橋の隣には鴨緑江断橋があり、凄いのが一般人が渡ることができるのだ。実際に渡ってみたのでどうぞご堪能あれ。

これが鴨緑江断橋である。チケットを購入し(30元、約470円)、緊張しつつも橋に向かって階段を登っていく。

ついに橋の入り口が見えてきた。大量の五星紅旗がはためいている。

この橋は、国境付近のギリギリまで行くことができるが、実は朝鮮戦争の時に片方が破壊され、残念ながら出入国審査(そもそもそれが可能なのかどうかさえ怪しいが)を受けて向こうまで行くことはできない。 現在は片方だけ現役だが、中朝の友好の象徴とされている。

橋を渡るとまず目に入ったのがこの光景。右が中国で左が北朝鮮。両国は明らかに対照的であり、国との格差を容赦なく見せつけられる瞬間であった。

そしてついに橋は行き止まりになった。遠くでしか見ることができなかった北朝鮮側の建物や乗り物などがはっきりと見える。建設途中と思われる廃墟に近い建物(ホテル?)や観光バスなどがあったが、意外だったのが観覧車。遊園地でもあるのだろうか。ここではないが、少し離れた場所にはウォータースライダーがあった。なぜここに娯楽施設があるのか、という疑問は晴れることはなかったが、おそらく隣国から来た人々を楽しませようという北朝鮮側なりのおもてなしなのかもしれない(勝手な推測)。

「遼寧・丹東 鴨緑江」と書かれた記念碑。記念写真を撮ろうとする人たちで行列ができていた。中々人が途絶えなかったのでコレを人が写らずに撮るのが大変だった。並んでた人達はほぼ全員地元民か観光に来た中国人だった。あんたらいつでも来れるだろう…

雨が降ってこないうちに、「地○の歩き方」に掲載されていたテレビ塔(黄海明珠)に行くことに。上階では国境を一望できるらしい。現在地から少し離れていたうえ、雨が降り出したのでタクシー捕まえる。

無事到着。しかしおかしい。人がいない。もしここが観光地だったとすれば、もう少し人だかりができていてもおかしくないはず。嫌な予感。

ダメもとで塔の中に入ってみる。すると、従業員らしき小太りのおっさんが出てきて、

「今日は閉館だ。さあ出て行った出て行った!!」

と秒速で追い出されたとさ。残念。ここまで行く時間とタクシー代返せー

ガッカリして外に出る。雨は本降りになっていた。すると、出入り口前にたむろしていたおばちゃんたちにつかまり、中国語で機関銃のごとく話しかけられた。私が外国人であることは分かっていたらしい。英語は通じない上、中国語が理解できないのでうんうんと頷くぐらいしかできなかった。同じく、このおばちゃんたちも塔に入ろうとして追い出されたらしい。結局私たちは一緒に下山することになった。下山中も相変わらずおばちゃんズは中国語で話しかけまくる。私もそれに答えようとジェスチャーでコミュニケーションを取ろうとする。おそらく「どこから来たのか」とか色々聞きたいことがあったのだろう。

下山と同時に雨も徐々に強まっていく。折り畳みの傘だけで雨を回避するのがもはや不可能なぐらいに。降りたときにはリュックがずぶ濡れに。湿度と雨で体力が消耗していく。降りるまでに30分ぐらいはかかったと思う。気が遠くなった。言語の壁はあれど、このおばちゃん達がいて心強かったのは事実。感謝の意を。

テレビ塔の前で撮影した国境。雨だったというのもあり、絶景とは言い難いが撮れてよかった。

いよいよ警報が出るほどの大雨になってきたので近くのレストランで止むのを待つ。謎のあんかけご飯みたいなものと青島ビールで疲れた体を癒す。

ここで丹東旅第二の目的である北朝鮮レストランの情報を集める。丹東では場所的にも北朝鮮レストランが多い街であるが、その多くは写真や動画の撮影が禁止されている。だが、一店舗だけショーなどの写真撮影をOKにしているところがある。それが「柳京酒店」(「酒店」とは中国語では酒屋さんではなくホテルである)。もしかしたら読者の中にこの名を聞いたことがある、という人はあるかもしれない。それもそのはず、北朝鮮の最も有名な建造物であるあの三角形のホテルの名前「柳京ホテル」から取ってると思われるからだ。

ところがこの北朝鮮レストラン、色々噂があるのも事実らしく、何度も「閉店」のデマ情報が出回っていた。実際、中国国内では北朝鮮レストランの閉店が相次いでおり、大連市内にあるレストランは全店閉店したのだとか。おそらく北朝鮮側の外貨稼ぎを阻止しようという意図があるらしいが、真相は分からない。とはいえ、ネット上の情報が完全に信用できるものとは到底思えない。せっかく近くにいるのだから、これが事実かどうかを私が実際に確かめてやろうではないか。

不安になりながらも雨が止んだタイミングで外に出て、早速向かう。現在地からは案外近かった。その姿が見えた。む、明かりがついている?これは….

営業していた….間違いない(2018年8月当時)!確かに電光掲示板にはショーの開始時刻が載っている。あの「閉店」の情報はデマだった!確認して大正解だった。これで第二の目的が達成できる!!ああ、何という強運だ…!

開店時間を聞くため、中に入る。開店時間は18:00で18:30にショーが始まるらしい。メニューを見せてくれるらしい。値段は高くはないが安くはないといった感じ。最初に出てきたスタッフに日本人であることを伝えたら、「ちょっと待って、日本語が話せるスタッフ呼んでくるから」と言って連れてきてくれた。彼女の日本語はそこまで流暢ではないが、やり取りは問題なくできた。昔、日本に留学していたらしい。だからか。ここの料理について色々教えてくれた。

開店後に再度入店し、ついに店内に。

一番見えづらい席を案内されました…..柱がクソ邪魔…

特等席は大家族に占拠されていた。

ビビンバ。混ぜた後に写真を撮っていないことに気付いて急いで撮影したもの。すみません。

朝鮮ビールがたまらなく美味かった。

名前は知らないが、豆腐をペタンコにした何かとハムの炒め物。なんか美味しかった。

ショー待機。この柱がなければなあ。

18:30、ショーが始まった。最初は最も有名な朝鮮民謡である「アリラン」。ここのパフォーマーの女性たちだが、歌唱力と演奏力のレベルが非常に高く、目を見張るものがあった。あとみんなものすごく美人。美女の美声が聞ける天国のような場所だ。

バンド演奏もあった。この画像の網みたいなやつが気になったが、よく似たらギターの弦だった。ショーは1時間ぐらいあったかな。圧巻のステージだった。ありがとう。

ショーが終了し、再度食事に戻ろうとした時、隣の席のおじさんズに「一緒に乾杯しよーぜ!」と声を掛けられ、一緒になって飲むことに。

朝鮮ビールで乾杯!

彼らは英語は全く通じなかったのでスマホの翻訳アプリでやり取りをした。おしゃべりをしながら朝鮮ビールを一緒に飲んだ。気が付けば閉店間近になっていた。そしていつの間にか私の分を彼らが払ってくれていた。「あ、払わないと」といったら「そんなのとっくに払ったよ。心配すんな!」と。礼をしてもしきれなかった。

店を出て再度彼らと 鴨緑江に向かった。夜にもかかわらず、観光客でにぎわっていた。

彼らとは何度も記念写真を撮ったり、川周辺を散歩した。最後は宿まで送ってくれた。その時ウィーチャットのアカウントを交換し、彼らの故郷である天津で再会することを約束してその場を去った。今でも時々連絡はしている。

今日はここまで、それでは。