2014年8月21日 ロシア・サンクトペテルブルグ 念願の水の都へ 

ロシア美術館前のプーシキンの銅像 ロシア

8月21日、モスクワ。いよいよこの日がやってきた。それは長年の夢であったサンクトペテルブルグ(以下ペテルブルグ)に行くこと。高校の時からずっと行きたいと思っていた。

モスクワの宿を出たのは、早朝5時。7時発のサプサン号に乗る為に早めに出発をする準備をした。同室者は全員寝ていたので物音を立てないように気を使いながらそっと身支度をした。さすがに荷造りを部屋でするわけにはいかなかったので、バックパックをリビングに持って行ってから荷物を詰めた。すると部屋から私のベッドの下にいたウクライナ人の男性が起きて私の荷造りを手伝ってくれた。この男性はキエフから仕事で来ていた模様。かっちりした体形で右腕にはウクライナの国章のタトゥーがあったが、その見た目とは反対に気さくで話しやすかった。そんな彼がわざわざ朝起きてお別れの挨拶をしてくれたのだ。なんていい人だ。同時にソファで寝ていたスタッフも起きてチェックアウトの対応をしてくれた。

宿を出た後、地下鉄でサプサン号が出発するレニングラーツキー駅に向かう。ちなみに余談だが、ロシアの駅名は目的地が駅名になっている。例えば、逆にペテルブルグからモスクワに出発する場合は「モスクワ駅」になる。「レニングラーツキー駅」の駅名はペテルブルグの旧名であるレニングラードにちなんでいる。

モスクワーペテルブルグ間を走る高速列車サプサン号。2009年開通。車体はドイツ製。 サプサンはロシア語で「はやぶさ」を意味し、その名の通り最高時速250kmから300km位の速度で走ることができる。以前、モスクワとペテルブルグ間の移動には10時間以上かかるのが一般的だったが、サプサン号の開通によってわずか4時間の移動が可能になったのだ。これは移動=長時間かかるというのが普通だったロシア内の移動に革命をもたらしたとも言えるが、値段が高いというデメリットもある(当時は9000円ほどかかった記憶がある)。停車する都市はモスクワ、トゥベーリ、チュードフ、ペテルブルグだった(当時)。

 

内観。最近できたということもあり、最新の設備となっている。 写真には写っていないがほかの電光掲示板にはリアルタイムで時速が表示されている。一番早いときは300kmを超えていたかも。

 

11:00、時刻通りペテルブルグの駅に到着。ついに念願の水の都に上陸。しかし、モスクワと違って結構寒かった。駅には出迎えのクラシック音楽が流れていた。作曲者は忘れたが、おそらくチャイコフスキーだろう。分かる方いたら教えてください。

 

駅構内。ペテルブルグの創設者であるピョートル大帝の胸像が目立つ。

それから恒例の宿探しの旅が始まるが、その前にショコラッテで腹ごしらえをする。ロシアでは珍しく、ここの店員さんは非常ににこやかで愛想が良かった。ロシアの店員は不愛想で態度が悪いというのがデフォだが、ここは違った。その店員は若い女性だったが、私が店に入ると自ら英語で話しかけてくれ、まだ何も言っていないのに「ケーキが気になる?これはチョコレートでこれはチーズ、ほかにも色々あるわ。あなたの好きな方を選んで」とショーケースに並んだケーキについて紹介してくれた。せっかくなのでケーキとコーヒーを注文。両方頼んでも500円以内に収まった。モスクワと違って物価は安い印象。

カフェを出て行ったあと、宿探しを開始。しかし、場所が全く分からない。すでに近くに来ているはずだが、最寄りの通りが見つからない。うろうろしているうちに、怪しい屋台が並ぶ場所に入ってしまう。特に何もなかったが、ロマ人らしき人に話しかけられたり、胡散臭い人たちも結構いたのですぐに抜け出した。

韓国系のホテルのフロントに聞いたり、周辺の人を捕まえて聞くが手掛かりはなく、気が付けば2時間が経過していた。なんでこんなに分かりにくいんだ。とほおに暮れていたその時に、たまたま通りかかった男性が「もしかして宿を探しているのかい?」と話しかけてきた。最初は疑心暗鬼だったが、重いバックパックによって肩と腰が限界で疲れ切っていたのでそこは彼を信用することに。最初にその男性は「宿の電話番号を教えてくれるかい?」と聞いてきたので教え、代わりにホステルに電話をしてくれた。終わった後、「場所は分かったよ。オーナーが出迎えてくれるって。今から行こう」と言い、一緒に向かった。彼の名前はマクシムと言い、仕事の休憩時間中だったようだ。そんな中で私の宿探しを手伝ってくれたなんて…

そして、ようやく宿に到着。場所はアパートの一室にあるらしく、看板も目立たないのでかなり分かりにくかった。約束通り、オーナーが玄関まで出迎えてくれた。マクシムさんは私の状況を説明してくれた。その時見返りとして金銭を要求されるのではと警戒していたが、それはなくお互いに握手をして彼は去っていった。普通に親切な人だった。疲れた….

 

ホステルの一室。宿泊したのはApple Hostel。これと同じ宿はモスクワにあり、もちろん宿泊。宿探しで無駄に疲れ果てていたが、休む時間がもったいないのですぐにロシア美術館に行くことに。

 

ロシア美術館外観。その周辺には似たような建物が多かったので意外と探すので苦労した。ロシア美術館は歴史画が多いということで楽しみで仕方なかった。

 

美術館玄関口。やっぱ内観からして格別。まるで宮殿のよう。いよいよ絵画めぐりを開始。

 

ニコライ二世のポートレート。

 イリヤ・レーピン作、「トルコのスルタンに手紙を書くザポロージェ・コサック達」。これはコサックたちを描いた絵の中ではかなり有名であり、見たことがあるという人もいるだろう。レーピンの渾身の代表作。

 

同じくレーピン作、ステンカ・ラージン。レーピンは歴史画家であるが、自身がコサック出身ということもあり、コサック関連の絵が多い。

 

またレーピン作。「ヴォルガの船曳」。 これも見たことある人いるだろう。レーピンが画家として知名度が上がるきっかけとなった作品である。19世紀当時、存在していた船曳労働者を描いている。ロシア民謡の「ヴォルガの舟歌」も彼らを題材にしている。

 

 ヴィクトル・ヴァスネツォフ、『冥界の三人の女王』。

 

ニコライ・ゲー『皇太子アレクセイを尋問するピョートル大帝』。

 

この皇太子とピョートルは政治、宗教面で考え方が正反対であり、親子仲は非常に悪かったという。 皇太子は帝位や政治に関心はなく、父親の反対を押し切って修道士になったりと宗教的に強い関心を持っていた。そのたびに捕まり何度も尋問をされていたが、のちに投獄され、獄死してしまう。

 

イコンや宗教画の展示もある。

 

 イヴァン・ニキーチン『ピョートル大帝の死顔』

 

 ピョートル三世。エカテリーナ二世の旦那さんであのプロイセンびいきである。

 

ウラジミール・ボロヴィコフスキー、『エカテリーナ二世』

 

内観。

 

 美術館はこうであるべきと思えるぐらいの美しい内観。

最後に現代画の展示を見たのだが、ある緑のポロシャツを着た日本人らしき青年が近くで鑑賞していた。「彼も美術に関心があってきたのかな」と単純に考えていた。その時、その彼が私に話しかけてきたのだ。「日本人ですか」と。バレちまったか、まあそりゃそうか。

彼は関東から来た大学生らしく、私より二つ年下だった。世界一周しているらしく、大学は休学中ということ(※当時。今はどうしているかは分かりません)。はいでた、世界一周するから休学しますというパターン。いるんだよね、こういう子。別に休学して旅行すること自体は悪いことではないんだけど、まあ個人的には「世界旅行は大学行かんくてもできるのでは…」と思うし、正直理解しかねない。

簡単に自己紹介した後、ロシア美術館に来た理由について尋ねてみたが、彼曰く「ペテルブルグの名所と聞いたからなんとなく来ただけで、美術とか、絵画自体には興味がないんですよねー」ということ。じゃあなんで来た。

せっかく出会ったのだからということで、一緒に回ることにした。

 

 ロシア美術館前のプーシキン像

 

血の上の救世主教会。撮影時間はなんと21時過ぎ!明るい!

しかし、我々は夕食を食べていなかった。なぜかというと、目当てである「ヨールキー・パールキー」というお店探しに苦戦していたからだ。このレストランは地○の○き方にも掲載されているほどメジャーであり、実際に行った知人もリーズナブルで美味しいと言っていたので気にはなっていた。ところが、○き方の地図が示している場所にはそれらしきものがなく、Wi-Fiを拾ってGoogle先生のマップで探したり、通行人を捕まえて聞いてみたりした。すると、そのうちの一人が場所を知っていたらしく、場所を教えてくれた。その通りに歩くとようやく発見した。どうやら○き方の地図が間違えていたようだ。

 

偶然の出会いに乾杯

 

 安くて絶品のボルシチ。疲れた体が癒される

 

ピロシキも美味し。

 

 サラダバーがあるらしい。食事中にウェイトレスさんによるダンスショーが始まった。軽快なロシアの民族ダンス。

店を出ると、外はすっかり暗くなっていた。時間はすでに23時を過ぎていた。さすがに暗いし、一人で宿まで帰るのはさすがに躊躇したので、学生の彼に送ってくれと頼んだが、「一人で帰れるでしょ。」といって店の前で別れることにした。

あのね君、ロシア人男性ならそんなこと絶対にしないよ。それと同じことロシア美女にやってごらんなさい。

でも、何とか宿までは無事に帰ることができた。何もなくてよかった….

よい子は暗くなる前に早く宿に戻ろうね。

ではまた。