2017年12月31日 イラン・テヘラン イラン最終日

イラン

シーラーズ出発後、バスはテヘランへ向かっていく。所要時間は13時間。長距離の夜行バスでもかなり長いがこの程度の移動時間は大したことはない。

出発直後の車内。暗くなると謎の赤い電気に変わった。ぬいぐるみだらけの趣味の悪いバスもそうだがイランってなんとなく斜め上のセンスを見せてくれる時がある。 

 軽食が付いてくるのもVIPバスならでは。このときはバナナ付きの豪華なセット。

目が覚めたら外は明るくなっていた。相変わらずの荒れ地と砂漠が広がっていた。びっくりするほど緑がない。 

テヘラン市内へ。到着はもうすぐだが渋滞でなかなか進まない。大気汚染で青空と黄色の見事なコントラストができている。

よく見るれば山があるのが分かる。

イランではホメイニ氏の写真と同じぐらい、道路や橋などに多くの国旗が立っている光景をよく見る。 

バスがテヘランのターミナルに到着したのは、午前11時頃。12時間以上の大移動であった。こうしてみるとテヘランという町は、中東最大の首都というだけあって結構都会。写真にも写っていると思うが建設中のビルも多く、至るところで工事がされていた。ここ最近イランは目覚ましい経済成長が続いているらしく、建設ラッシュなのも頷ける。イランの経済発展を目の当たりいした瞬間であった。

同時に空気もイスファハーンとシーラーズと比べ物にならないぐらい悪い。まあ、空にコントラストができているぐらいだから当然ちゃ当然だが。 

この日はイラン最後の日であり、夜には出国をすることになっていたがまだ時間はあった。聞いた限り、テヘランはそこまで見所がないと聞いたものの、かといってさすがに夜までここにいるわけにはいくまい。そこでテヘランの見所を探そうとインフォメーションに行ってWi-Fiを借り、検索する。

口コミを見る限り、ゴレスターン宮殿がいいらしい。一番良い移動手段を知るために、インフォメーションのおじさんに聞いてみた。するとおじさん「日本語が話せるスタッフがいるから彼を呼ぶね」と。なんと、日本語話者がいたという。

しばらくすると、小柄なおじさんが出てきた。「おーこんにちは。よく来てくれたね。」と日本語で挨拶をしてきた。

彼の名前はラミ―。20年前に日本に長く滞在していたらしい。「あんた、出身はどこだ?」と聞かれたので「神戸です」と言ったら「私も実は神戸に住んだことがあるよ。その時丁度震災があってね。当時のことはよく覚えている」となんと神戸にもゆかりがあったという。

そこで、「で、あんたは何がしたいんだ?」と聞かれたので、「ゴレスターン宮殿に行きたい」と言い、「とりあえずタクシーを呼んでください。」とお願いし、一番安いタクシー会社に連絡して呼んでくれた。

最後に連絡先を交換し、ラミーさんとはここでお別れをした。

呼んでくれたタクシーに乗車し、目的地に向かった。

バスターミナルから宮殿までは約40分。タクシーは順調に進むが、中心地に到着した途端。ドライバーは頻繁に停車してはスマホで場所を確認する。「どうかしましたか?」と聞いたら、ドライバー「すまないが場所が分からないんだ。もう一度目的地を言ってくれないか」とお願いされたので、行先を伝えたら「OK。調べて場所を特定するよ」と言い、再出発。なんか心配になってきた。たしかゴレスターン宮殿はテヘランでは有名な観光地を聞いたはずなんだがそれを知らないってどういうことなんだろう。

ドライバーは何とか目的地まで行こうと努力はしてくれたが、結局場所は特定できなかったらしく大通りに降ろされた。

ここからは自力で探す羽目になった。通行人やチラシ配りのお兄さんなどに道を聞いては探す作業がひたすら続く。幸い、イラン人は親切な人が多く、全員が教えてくれた。そしてようやく到着。長い道のりだった。

ゴレスターン宮殿近くの国旗。 

道中に通った大通り。 

庭園。バザールでも、モスクでもそうだが、イランには必ず庭園がある。

ゴレスターン宮殿は各フロアに分かれており、見学する場所によって値段も変わってくる。かかる費用は基本料金+見に行ったフロアの入場料、となる。私の場合は、基本料金150000リアル+鏡の間150000リアル=計300000リアル(約900円ほど)かかった。

料金は入口付近で支払い、カードキーを渡されたあと、そのカードをかざしてゲートを通る。これで入場は完了。

ゴレスターンは「バラの園」という意味であり、18世紀末にガージャール朝時代に建設。ペルシャ文化と西欧の文化が融合した豪華な建設物は、当時はかなり画期的であったとか。モザイクのタイルが特徴的な外観と、西欧的なデザインとガラスが散りばめられた内観と、2つの顔を見ることができる。現在は世界文化遺産にも登録されているが、あのドライバーにしてもラミーさんにしてもなぜか知らない人がいるのかが不思議なぐらい。

ここからしばらく写真が続く。

玉座。奥を見ると天井と壁もすべて鏡で埋め尽くされている。このときは残念ながら巨大カーテンによってよく見えなかった。

黄色、緑、ピンクを基調としたモザイクタイルはペルシャ的側面。 

こちらが入口。 

中に入る時だが土足禁止なので、靴の上に青色のカバーをかぶせる必要がある。写真撮影は基本的にOKだが、フラッシュと三脚は禁止。

中に入ると最初に待っていたのは、大理石の階段に赤色のカーペットが敷いた玄関。そして壁には洗練された鏡の模様。これだけでも圧倒される。この後がますます楽しみになってくる。 

こちらは謁見の間。名前の通り、シャー(ペルシャの王号)と来客が謁見する場所のようだ。この人形を見れば明らかであろう。

 輝きの間付近。天井を見ると西欧的な作りになっているが、下にはペルシャ絨毯が敷いている。2つの様式を違和感なく構成されているのが分かる。

鏡も美しいが、精巧な彫刻も見応えがある。 

謁見の間(全体) 

こちらは「鏡の間」見渡す限り鏡まみれ。 

鏡・鏡・鏡 …..

 からの鏡。どこ見ても自分の姿が見えるのはさすがに落ち着かなくなる。常に自分の顔を見ときたいというナルシストには最高の環境かもしれない。

デザインはイタリア人デザイナーが考えたらしい。

ただでさえキラキラしているがシャンデリアの明かりにとってさらにきらきらテカテカする。

なぜこのような大胆なデザインにしようと考えたのだろうな。

いかにも落ちそうなシャンデリア。 

「鏡の間」は写真撮影忘れてました。すみません。

本当なら王宮等も見て行きたかったけど、お金と時間が限られていることからここで断念。

腹が減ったので近くのローカルレストランへ。さすがはテヘラン、素晴らしいぐらいの混み具合だった。

試しに飲んでみたイランの飲むヨーグルト。味はしょっぱくハーブっぽい味がした。味覚が混乱するような感じ。慣れるととまあまあ飲めるが美味しくはない。 

付近の大通り。この通り大混雑している。

この奥は大バザール。中を見ると恐ろしいぐらいの人混みで、もはや京都河原町の橋の混雑が可愛く感じるぐらい。おみやげはシーラーズで買っといて良かった。

気がつけば午後4時を回っていた。渋滞することを考え(テヘランは本当に渋滞が多い。地下鉄、バスが発達しているにもかかわらず未だに超車社会である)、そろそろ空港に向かうことに。休憩で立ち寄って喫茶店の店員にタクシーを呼ぶようにお願いし、とりあえずバスターミナルまで送ってもらうことに。

到着後、預けていた荷物を取りに行き、バスに乗って地下鉄の駅まで。窓が行方不明。

イランではバスの車両は完全に男性と女性に分かれている。ここでは女性専用となっている。列を並ぶ時も男性、女性は完全に分けて並ぶようにする。料金は5000リアル。 

地下鉄の駅まではすぐ近くだった。後は空港に向かうだけだ。

地下鉄の切符。紙に乗じされているQRコードを改札でかざして通る。 

2017年夏に空港行きの線が出来たばかりらしい。これはたいへん助かる。

駅のホーム。意外とキレイでおしゃれな作りだった。電車は5分に一本来る様子。 

エスカレーターで転倒注意的な看板だろうか。転んでるのに嬉しそうな顔をしているのが謎。

やっと電車が来た!と思ったのも束の間、電車は超絶混んでいた。この時私はバックパックとサブのリュックサックを両方持っていたというのもあり、隣の女性に迷惑そうな顔をされた。この状態でさすがに乗るわけにはいかないのでしばらく時間を置くことに。おそらくラッシュの時間なのだろう。

すると、隣のおじさんに「どうしたんだ?」と声をかけられた。「電車が混みすぎて乗れないんだ」と文句を言ったら「分かった、もうすぐしたらすくと思うからしばらく待とう」と聞いてくれた。待っている間、しばらくこのおじさんと話をすることに。

この人はバイクが趣味らしく、写真を見せてくれたり、自慢をしてくれた。

電車は次々と来るが空くどころが、ますます人が多くなる気がする。おじさんと、「あれもダメ」「これも乗れそうにないね」と話していた。そうこうしているうちに一時間が経過。幸い、早めに動いているので時間的に問題はない。

時計を見ると午後6時前になっていた。この時日本では一足早く年を越していた。

うんざりしていたその時、女性専用車両の一部にほんの少しの空きがあった。

すると、おじさんが、「今だ!!乗れ!」と言って下ろしたバックパックごと私を車内へ突っ込み、すでに乗車していた女性も私の腕を引っ張って手伝ってくれた。なんという連携プレー。そしてようやく電車に乗ることが実現した。そのおじさんには深く感謝する。扉からおじさんに手を振り、空港駅へ向かう。実をいうと、この次の駅で一気に人がごっそりと降りるからそのあとは空くんだけどね….朝の通勤ラッシュ時の御堂筋線の本町駅で一気に空くのと同じように。

空港への乗換のためにShahed駅に到着。しかし、人が少ない。おかしい。改札口前にいた係員に聞いてみると。この日はもう運行していないということらしい。なんてこと。。「どうしたらいいか」と聞いたら「タクシーで行くしかありませんね」としか言われなかった。

せっかく安価で行こうと思ったのに。しかし、実際タクシー以外方法なかったので仕方なくタクシーで空港に向かうことに。。。

ぼったくりではなかったが、Shahed駅から空港までは距離もあったため300000リアル近くかかった。リアルに最後まで痛い出費だった。

空港での最後の一杯(?)もちろんノンアルコール。

一週間以上滞在したイランとは残念ながらここでお別れ。 本音を言えばあと1か月はいたかったけど時間が許してくれなかった。

思い出に浸っている間に気が付けば年を越し、2018年になっていた。

この時、私は生まれて初めて海外での年越しを経験し、空港内ではあるが特別な正月となった。今まで年越しはずっと家だったので高揚感が止まなかった。

空港では何もなかったが、機内アナウンスは「ハッピーニューイヤー」と一言だけ挨拶があった。

0時44分、クアラルンプール行きの飛行機は離陸した。

現地の皆さん、親切にしてくれてありがとう。バイバイ、イラン。必ず来ます。