2017年12月27日 イラン・イスファハン 「世界の半分」の街は夜も幻想的だった

イラン

イスファハン二日目。

新しいスカーフが欲しかったのでバザールに赴いて買い物に行っていた。その道中でイラン人男性に話しかけられた。

最初は「またか」と思ったが、その男が「ボーイフレンドはいるのか?」と聞き、「いない」と答えたら、「俺のところにいい奴がいるから紹介するよ」とまさかの恋人紹介。私はロマンスを求めて旅をしているわけではないので当然はっきりと断った。

イランは勧誘やらナンパが多いが(特に日本人に対して)、これに対して「ノー」と言えば意外にもすぐに引き下がってくれる。そこはあっさりしている印象だった。この人も「分かった。じゃあよい一日を」とすぐに去ってくれた。海外でははっきりと意思表示することが大事だということを改めて認識した。

バザールでは店の勧誘と挨拶を含め、色んな人に話しかけられた。中には「何か困ったことはないか」と声をかけてくれる人もいた。今のところなかったので気持ちだけ受け取った。

スカーフも無事入手。値段は550000リアル(1700円ぐらい)で意外と安くなかった。でも綺麗な紺色が気に入った。

イマーム広場に戻ると、今度は休憩中の絨毯屋のあんちゃんに声をかけられた。「日本人かい?!日本大好きだから嬉しいなあ。「シルクロード」という絨毯屋やっているんだけど良かったら見に行かない?」と言い、お店に案内してくれた。この絨毯屋は観光客に人気があるらしい。店に入ると、また紅茶が出てきた。この店は彼(以下ラス―ン)とその兄弟で切り盛りしているという。絨毯も見せてくれたが、しばらくここで休憩してもいいということで座って世間話をした。ここでもまた恋バナになった。、イラン人って意外と恋バナが好きなんやな。「結婚はしてるか?」とか、「彼氏はいるの?」と言った恒例の質問。正月の親戚か。

「いない」と言ったらお決まりの「いないの?!信じられない!」という返答。そしてまた「俺じゃダメかな?」というくどきタイム。いやいや、いくら言っても無駄だって…ここははっきりと「ごめんなさい、でもよき友でいましょう」と断ったが、しかし彼は諦めきれない様子。インスタのダイレクトメッセージでも「本当にダメ?」と来ていた。そのたびに何度も断る。その繰り返し。でも最終的には分かってくれた。

ラスーンは喫煙などで何度も店を出入りする。その時はその兄弟と話をする。「あいつは日本に行きたがっているんだ。住みたんだって。調べてあげてよ」という。ハハッ、だからか。

その時、二人の女性客が店に入ってきた。ところが、彼の表情はなぜか険しい。いや、それを超えて嫌悪感として表れている。おいどうした。この女性たちは全身黒ずくめで一見するとイラン人にも見える。結局女性客は何も買わずすぐに帰った。

彼は嫌な顔をしながら「あれはアラブ人だ。アラブ人は大嫌いだ。あいつら頭おかしい!」と半ギレ状態でつぶやいていた。加えて、「あいつらはイランに戦争を仕掛けたんだ。こんな奴らを許すわけにはいかない!」

この手の話になると、政治が絡んでくる上に非常にデリケートになるので私は何も言わずとりあえず聞き流した。下手に発言したせいで気まずくなることだけは避けたかったから。多分この問題は彼らだけにしか分からないのかもしれない。

ラスーンが戻ってきた。彼にイマーム広場を散歩しようと誘ってくれたので一旦外出。

夜のイマーム広場。ライトアップと噴水の演出で昼とは異なる表情を見せる。 美しい。

 

幻想的なイマーム広場で、ラスーンがiPhoneで音楽を流し始めた。英語の歌だ。「これどこの国の曲?」と質問したら「アメリカだよ。このアーティスト大好きなんだ」となんと意外な返答が。イラン来る前は「イランはアメリカと仲が悪くて全体的に嫌っている」と思っていたが、その先入観が完全に覆された瞬間だった。 実際に来てから、特に若い人はアメリカのアーティストや文化が好きな人が多く、西欧文化に対して寛容であることが分かった。かつての古臭さは通用しないのかもしれない。この時「本当にアメリカのことが嫌いなのかな」と疑問に思った。むしろアラブ人の方を嫌っているのでは…

あともう一つ驚いたことは、イラン人自らが普通にgoodサインをしていたこと。このサインはイランでは強い侮辱を示すからタブーだと言われている。だが、私が会った若いイラン人はみんななんの疑いもなくこのサインを使っていたのだから驚きである。若い人の間では「goodサイン=タブー」という認識が通用しなくなっているのかね。

かといって、「じゃあイランでも使っていいんだ」と思い込んでむやみにすることはお勧めしない。怒り出す人もまだ少なくないだろうから。注意。

金曜モスク(夜Ver.)

 

メキシカンコーンというファーストフードをごちそうしてくれた。街の至るところに屋台がある。結構美味い。

ホステルに戻って荷物を取りに行きたいと言ったらラスーンは閉店後に車でホステルまで送ってくれた。ありがたい。

荷物を回収した後、23:45発のシーラーズ行きの夜行バスに乗る為、タクシーを呼んでバスターミナルへ。

バスのチケットはホステルのフロントで手配してくれたので、カウンターで予約済みの紙を見せてチケットを発行してもらうだけ。ややこしいのは、利用するバス会社によってカウンターが分かれていること。迷っていた時も、近くにいたイラン人の兄ちゃんが一緒に探してくれた。やっぱりイラン人は親切だね。

バスのチケット。料金は左に記載されているが、338400リアル(約1060円)。VIPバスにしてはかなり安い。すべてペルシャ語。全く読めない。なので最低限のペルシャ語は覚えといたほうがいいかも。数字とか。右には1396年10月16日と書いている。おそらくイラン歴だろう。

イランではいまだにペルシャ数字が主導権を握っていることが多い。車のナンバープレートやレストランのメニューの金額、予約サイトの数字入力もペルシャ語数字である。

イランの一般的なバス。意外と綺麗だしちゃんとしている。 今回利用したバス会社はimanesfというところ。

バスは15分遅れで出発。 シートはゆったりとしていた。さすがVIP。シングルシートでラッキーと思ったら急に席を交代してあげてくれという要望が。意味が分からない。理由が分からんので「ここは私の席だ」といって断った。やなこった、席指定されてるもん。

 出発後すぐに軽食(お菓子とジュース)が配られた。

6時間後、シーラーズに到着した。次回からはシーラーズ編が始まる。